flower in my head

アニメのてきとう感想がメイン。ネタバレあります。

屍姫 赫 屍姫 玄 総評

仏教の一派が少女の死体を使役して屍を倒すというかなりショッキングな設定。 小野不由美さんの『屍鬼』を思い出したりもしたが(あれも主人公は坊さんだったな)。 屍姫たちのフェティッシュな描写が背徳感に拍車を掛け、暗い色彩設計もあいまって独特の澱んだトーンを作っていた。 最初の数話はそれがガイナックスらしい青臭さも相俟って、あざとさばかりが鼻についたっけ。
でもメッセージはいたってシンプル、瞬間瞬間が掛け替えのないものと感じられれば、出自や境遇がどうあれそれが生きているということ。 『赫』のミナイ、『玄』のイツキ、想い人のため精一杯使命を全うする彼女らは間違いなく生きていた。 マキナも復讐という確固たるモチベーションが支配していたにせよ、奥底では景世に恋慕に近い感情があったわけだし。 「死んでから初めて恋ができた」とイツキは言っていたけど、屍姫になれたことを感謝しているよな。 絶望感のある作風の中で、それが一縷の救いであり続けた。 契約僧たちも、屍姫たちに対する哀れみや畏怖以上に暖かい眼差しがあった。 そして一切のエクスキューズをせず、己の感情を押し殺して自分の屍姫を天国に送らんと使命を全うする姿に泣けた。 特に景世と嵩柾はそれぞれ違うスタンスで屍姫たちを守り、姫たちも彼らを信頼していたのが雄弁に伝わってきた。 それが行き過ぎて負の方向に暴走してしまったのが赤紗さんだったわけだが。
オーリだけど、巻き込まれ型の主人公からさまざまな屍姫や契約僧との出会いと分かれを繰り返すことで、自分なりの使命感を自覚するに至る流れは、まずまず納得のいくものになっていた。 屍の子供である事実を乗り越えたとき、マキナとの距離が近付いたというシナリオも手堅かった。 マキナに関しては12話の感想で書いたとおり。 達観したように見えた彼女も、周りの人達に影響を受けながら変わっていった。 それも生きているということだ。
キャストについて。 秋山奈々さんに関しては低音と抑揚のない喋りが「生ける屍」感を体現していて、かなりインパクトがあった。 ただし、基本バトルアクションものなので、絶叫や慟哭のシーン(無音処理もあったっけ)では視聴している方が乗れずにつらいこともあった。 同じくメインキャラに俳優やタレントを起用した『ミチコとハッチン』が独特のルーズな作風の演出に一役買っているのと比べると、あまり成功していたとは思えなかった。 でも中村知世さんの声はかなり好きでした。
★★★☆