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アニメのてきとう感想がメイン。ネタバレあります。

異国迷路のクロワーゼ The Animation 総評

湯音がギャルリぐるみで大事にされすぎてリアリティが薄い…という向きもあるかもしれないが、本作は『レ・ミゼラブル』みたいに耐え忍ぶヒロインを冷徹に俯瞰するコンセプトではないだろう。生真面目な奉公娘と不器用な職人青年が一進一退を繰り返しながら成長する物語というのが本質だと思う。以下、主要人物評。

  • 湯音: 勤勉で謙虚だけど「看板の猫」を追いかけて行方不明になるような子供らしい危なっかしさを併せ持つ。残念だったのは、奉公人としては充分な働きなのに、なぜ「一人だけ何もできない」と自らを責めるのか、肝心なその背景が分からなかったこと。彼女がどうしてはるばる巴里まで奉公に来たのか、その詳しい経緯が語られたならば、もっと親しみが持てただろう。
  • クロード: 初回で湯音との距離感を掴めないでいた様子は、ラス前まで基本的に変わらなかった。父親とのちょっと屈折した思い出と別れのトラウマが、腫れ物に触るような湯音への態度に表れていて、私的には親近感の持てるキャラクターだった(余所様では厳しい意見が多かったみたいだけど…)。最終話の熱演を始めとして、近藤隆さんの巧さが光った。
  • オスカー: 頑なな二人の潤滑油役として存在感が大きかった。どんな時も決して責めることなく、湯音に対しては励ましの言葉や気分転換を、クロードに対しては言葉を選んだサジェスチョンで導いていたのが印象的。某作品の暴力女将なんかよりはずっと理想的な大人キャラとして演出されていたと思う。『X-MEN』ビースト役に続き、田中秀幸さんのジェントルな語り口も良かった。
  • アリス: 湯音に異文化の扉を開いた役目こそ担ったものの、クロードに対するカウンターと賑やかし以上の存在感を見い出せなかった。クロードに毒づくばかりでなく、彼を認める台詞の一つでもあれば印象が上向いたかもしれない。まだガキンチョってことで鷹揚に受け止めてやるべきかもな。
  • カミーユ: 無邪気だった幼少時代とは別人のような、達観と諦念と覚悟と嫉妬がとぐろを巻いたような複雑な内面描写が印象に残った。最終話の大団円でも一人だけ「鳥籠」の中だったことを考えると、あのまま上流階級の流儀に従って生きていくんだろう。幼少時代を見せられただけにやるせない。

キャラクター芝居と呼吸の合った弦楽器主体の劇伴音楽、そしてフランス人スタッフによる緻密な背景美術はすばらしく、ドラマを引き立てていたことも特筆したい。
原作との兼ね合いがあるかもしれないが、グラン・マガザンへのお出かけエピソードとか、ちょっとだけ距離が近づいた湯音とクロードのこれからを見てみたい。また、今シリーズではマスコット的な印象が強かった湯音の価値観を形成する彼女のルーツにも興味がある。二期の実現を祈念。
★★★☆