flower in my head

アニメのてきとう感想がメイン。ネタバレあります。

C3−シーキューブ− 総評

作画演出的には、大沼心監督が『ef』シリーズからこだわってきたスタイリッシュな演出と萌えキャラの融合の完成形といえそう。「呪い」、「拷問」などのゴシック・ロマン的なモチーフとの相性も良くて、水を得た魚のように感じられた。あと、定番であるエロスとタナトスの組み合わせを、前衛的な作画演出でマイルドに表現したテクニックも目を引いた(まあ見えないからこそ逆に凄惨さが強調されたとも言えるけど)。それを体現したのが禍具の誰でもなく、人間である上野錐霞一人だったという構図の歪さが、より背徳感を高めてくれたように思う。
トーリーや設定に関して。人間に利用されるだけの道具という出自を考えれば、禍具たちに罪はないだろう。人間との交流で人間になりたいというフィアの願い、利用されるばかりの不幸な禍具たちを救いたいという春亮の優しさも分かる。ただ、人格を有すに至ったフィアが過去の自分にあれほど苦悩しているのであれば、それを癒してあげるプロセスにもう少し説得力がほしかった。初回で「一日一善」みたいなことを言っていて、例えば白穂とサヴェレンティを救うこと、黒絵の美容院を手伝うことなどで実践はしていた。ただ、もう少し明快な手順で「呪い」を解いていく展開になれば、もっと感情移入できたような気がした。視聴者から見たフィアの「呪い」と「罪」が一致していないように感じられた。
敵役のピーヴィー、マリアが二人とも狂信者風情だったのは、物語に単調さをもたらした印象もあったけれど、彼女らを禍具という悲劇を生み出した人間の暗部そのものとして捉えれば、納得できる配役だったと思う。最終話エピローグでフィアが語った「道具のような人間と人間のような道具」が的確に言い表している。この一言を引き出すためだけに、今までのストーリーが存在していたようにすら思えた。少なくともストーリー構成的にブレはなかったのだと。
ライトノベル原作物にありがちな、いたずらにキャラクターや世界観を広げる展開ではなく、密室的で箱庭的な空間に納めたことも、背徳や禁断といったモチーフに合っていて良かったと思う。作品タイトルからして「箱」をフィーチャーしているのだから。
演出や世界観に加えて大島美和さんのキャラクターデザインも好みだし、自分としてはシリアス指向のラノベ原作ものとしては当たりだった。唯一不完全燃焼だったのはストーリー面。前述したとおり、フィアが「呪い」と「罪」を超克する姿を見てみたいので、ぜひとも2期を希望。
★★★☆