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アニメのてきとう感想がメイン。ネタバレあります。

THE IDOLM@STER アイドルマスター 総評

原作を知らない視聴者にも可能な限り間口を広げた理想的なアニメ化だったと思う。全25話を振り返ると、一見とっ散らかったようでいて、構成と演出が良く練られていた印象。

第1クール

初回を丸々使ったホームビデオによる手作りPV(1話)は、アイドルとしてよちよち歩きの彼女らの象徴。夏祭りミニライブ(3話)、「ゲロゲロキッチン」(4話)、海への慰安旅行(5話)と、序盤のあえて緩めに作ったようなエピソード群は、プロデューサーとともに試行錯誤する彼女らそのもの。ターニングポイントになったのが、律子プロデュースによる「竜宮小町」のデビュー(6話)。小町の人気が先行することによって、家族的だったアイドルたちの関係性に少しずつではあるが変化が始まる。しばらくの間、売れっ子になった小町が765プロを牽引するが、他のアイドルたちは泣かず飛ばずの状態が続く(7〜10話)。そんな状況からいち早く抜け出したのが、天才肌 星井美希(11〜12話)。そして第1クールの〆となる765プロ感謝祭ライブでは、小町の遅れを取り戻そうと奮闘するアイドルたち、そして吹っ切れた美希がプロのアーティストらしい才能を見せつける。
序盤のアマチュアっぽさから、各アイドルの当番回を通じてプロとしての輝きを帯びてくる…というのが第1クールの提要だったように思う。ここまでの要所要所で、歌へのこだわりを見せる千早、仲間たちのまとめ役として気を配る春香を印象付けたことが、クライマックスで効いてくる。ただし、第2クールで春香が思い悩むことになるアイドルたちのすれ違いはまだ出てこない。アイドルとしての人気が右肩上がりの高揚感をもって第2クールに繋げている。

第2クール

感謝祭ライブで小町以外のアイドルの人気も上昇(14話)。「生っすか!?サンデー」のグダグダぶりは、みんないっしょだった765プロの最後の姿だったのかもしれない(15話)。アイドルとしての自分を支えてくれるファンとプロデューサーの愛情が溢れた真回と律子回(17話・18話)、そして私的クライマックスだった、春香の献身による千早の挫折からの復活と成長(20話・21話)。みんなでいっしょにアイドルすることを至上の悦びとする春香の苦悩と立ち直り(22話・23話・24話)。そんな春香に対するみんなの恩返しのようだったニューイヤーライブ(25話)
第2クールは961プロからの妨害を含めて売れっ子になったゆえの苦労を描いていたように思う。千早のスキャンダルがその最たるもの。環境が大きく変わればアイドルたちも変わらざるを得ず、それぞれが疎遠になっていく。そんな空中分解しかかった765プロを繋ぎ止めようと奔走したのが春香。24話の感想で、彼女の価値観をアマチュアリズムと評してしまったけど、その「みんなで楽しく歌いたい」が形を変えて、雪歩や千早を始めとするみんなを助け励ましてきたのであれば、みんなも春香の願いに応えるべきだろうと、自然に思えた。

まとめ

春香が願ってやまない“チームとしての765プロ”を支持するファン側からの視座があれば、より説得力があったような気がするけど、アイドル側以外は基本的に描写しないというコンセプトだったから、視聴者が想像で補うしかないだろう。自分は、春香の献身をずっと見てきて、彼女の願いが叶ってほしいなあ、と自然と思うに至ったので良しとしたい。
プロデューサーさんは最後までプロデュース能力については具体的な描写がなかったけど、少なくともアイドルたちの精神的支柱になっていたのは確かだろう。美希との一件で成長したのかもしれないが、20〜24話で千早と春香をそれぞれ信頼して、素直な行動を引き出したアドバイスはもっと評価されてもいい。
全体としての印象は、一部の例外はあるものの、アイドルたちが意図的に屈託なく描かれていて、下記の拙エントリでも書いたとおり、『たまゆら〜hitotose〜』に通じるものを感じた。過剰なお色気描写や恋愛描写(美希はまあ御愛嬌レベル)などのセクシュアリティや、女所帯芸能界ものにありがちな陰湿ないじめなど、換言すると“人間の暗部”を徹底的に排除した作りが印象的(黒井社長一人に担わせていたけど)。「等身大」という表現は語弊があったみたいだから、「屈託がない」とでもしておこうか。余談だけど、美希や亜美・真美の浮世離れした言葉使いによるキャラ付けは『たまゆら』のヒロインズと同質だと思った。

『たまゆら』という異端の存在意義について考える - flower in my head

関連するけど、下記リンクの「アイマス=おっさん」説はまさにそうで、どこか娘たちの成長を見守る親御さんのような視線が心地良かった。アイドルたちの苦悩や逡巡もそんなフィルターの存在があったからこそ、彼女たちを信じて見守ることが出来た。世界観を765プロという箱庭世界に収めたことで、視聴者の目線が隅々まで行き届くようになっていたことが大きい。13人(律子含む)のアイドルたちを濃淡こそあれ描き切ることができたのも、そんな割り切った構成ゆえだと思う。

『アイドルマスター』と『僕は友達が少ない』視聴者層がごっそり入れ替わってるww アイマス=おっさん はがない=子供|やらおん!

まあ基本キャラクターものなので、当番アイドルによって印象が大きく変わってしまうのは仕方ないけれど(実はちょっと苦手なタイプもいる)、最終話まで視聴してから振り返ると、序盤から中盤の締まりのないエピソードにも意味を見出すことが出来るようになった。スタッフのキャラクターに対する愛情が画面一杯に溢れていて、視聴者をも幸せにしてくれる稀有な作品だった。本シリーズに関わった全ての人たちに感謝したい。
★★★★