flower in my head

アニメのてきとう感想がメイン。ネタバレあります。

『ヤマノススメ』三合目〜山登りの原点である低山ハイクの喜び〜

アニメ版『ヤマノススメ』、一合目・二合目も良かったが、三合目はそれ以上に気に入ってしまって、自分でも呆れるがかれこれ20回以上観返している。山好きの贔屓目があるかもしれないけど、大抵の登山愛好家の原点であろう低山ハイクの楽しさがコンパクトにまとまっていて嬉しくなってしまった。なお、原作未読者の感想なのでご了承を。


剱岳だのマッキンリーだのという一合目でのひなたの煽りはもちろん冗談で、いきなり1,500m以上の中級山岳にチャレンジみたいな展開はないだろうと思っていたけど、近場の里山天覧山・197m)を最初の山行に選んでくれてホッとした。まだ及び腰なあおいのために、親子連れでも登れる山に連れて行ってくれたひなたの優しさがじわじわくる。強引なだけではなくちゃんとあおいの立場を考えてあげられるところがいい。重装備のあおいと制服のひなたのギャップがまた微笑ましくて。
 
短い距離でもただ登る姿を映すだけでなく、木の幹のトカゲを見つけて「かわいい」と言ったあおいのカットも秀逸。樹木、山野草、地質、動物、何でもいいけど、自然を受け入れることが出来る感性は山登りにあたってとても大切。これだけで(体力技術面は別として)あおいは山好きの素質があるように感じられる。
 

自分の脚でこの眺望を得られるのが何物にも代えがたい山登りの魅力。
“山高きをもって尊しとせず。”
幼少時代に登った高山以上に、今回の感動がこれからのあおいの原点になるのだろう。
 
いろいろ教えてくれたひなたに手作りサンドイッチの自分用をあげたあおいで締めたラストも素敵。ひなたとは対照的なさりげなくも精一杯な感謝が内気なあおいらしくてほのぼの。
 

先鋭的なアルピニズムを題材にした小説や映画は数あれど、マイペースなアマチュア登山のそれはドラマ的な見栄えもしないことからあまりないように思う。そして本シリーズに触れて、いわゆる日常物アニメのまったりしたペースはアマチュア登山の描写に合うのではないかと思い始めているところ。また、ペースこそゆっくりながら必要十分なカットだけを連ねているのでテンポが良くもある。一合目では3分じゃ短すぎると思ってしまったけど、三合目で適正な尺なのかもと思えるようになった。今回は低山だったから良かったものの、これからもっと標高のある山を目指すようになった場合に、スケール感をどう出していくのか興味深い。レギュラーも増えるし複数エピソードに分けるのかも。

本シリーズで思い出したのが、市毛良枝さんの著書『山なんて嫌いだった』。大学の山岳会のような体育会系アルピニズムは別として、個人的な趣味としての登山愛好家はインドア派でスポーツ嫌いだった人も多かったりするので(管理人もどちらかというとそう)、あおいには感情移入できるのだ。山登りに興味がない人にもあおいを通じてその喜びが少しでも伝われば嬉しいな。

山なんて嫌いだった (ヤマケイ文庫)

山なんて嫌いだった (ヤマケイ文庫)