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アニメのてきとう感想がメイン。ネタバレあります。

絶園のテンペスト 第二十一幕「ファム・ファタール(運命の女)」

脚本:山口宏/絵コンテ:増井壮一/演出:浅井義之/作画監督:佐古宗一郎・新井伸浩
「はじまりの姫宮」と「絶園の魔法使い」の真実そして仕組まれた因果。
葉風と愛花、左門と早河、山本と吉野、真広、めぐむの三元中継を幾層にも積み重ねていく開陳シークエンスの澱みのない筆致が、「はじまりの姫宮」・葉風と「絶園の魔法使い」・愛花の断絶として炸裂するカタルシスに震えた。「探偵」、「加害者」、「被害者」を兼ねる自身の矛盾を芝居がかった所作で表現する愛花にみるシステマティックゆえの歪み。そして、葉風にとってのカタストロフィと愛花にとってのカタストロフィが相容れない構図そのものがカタストロフィという、人類への試練として仕組まれた両者の理不尽な在りようが悲しい。あらかじめ用意されたシナリオのとおり、「誰かのために」自身の本分を捨て去ろうとした葉風を「はじまりの樹を必ず倒せる剣」である愛花がその存在を賭して矯正する。幼き頃から宿命を自覚し感情を殺してきた愛花が感情を剥き出しにして葉風に見舞った拳に、全てを飲み込んだその覚悟が凝縮されているようだった。同時に、人としての自我を保つために吉野と真広が掛け替えのない存在だったことも…。自身を殺すことでしか吉野と真広の幸せを実現できないという愛花の境地、そんな愛花の真意を受け止めようやく腹を括った葉風の表情がズシリと重い。
前話のクライマックスのテンションそのままに、今までの伏線を力強く束ねて昇華した素晴らしい出来栄え。ラブコメ調の演出も交えつつ人間臭さが仕込まれてきた葉風と、故人という距離感を活かし不条理で謎めいた造形を崩すことのなかった愛花、対となる二人のキャラクターの描き分けが見事に花開いたエピソードだった。決闘におけるエフェクト作画と全編にわたる劇伴音楽によるドラマティックな演出もシリーズ最高。
★★★★★