flower in my head

アニメのてきとう感想がメイン。ネタバレあります。

ガールズ&パンツァー(GIRLS und PANZER) 総感

日常描写はそこそこに「戦車道」の試合をエピソードごとに必ず入れるサービス精神は、かつてのスーパーロボットものや特撮もの、あるいは『プリキュア』などのキッズアニメを髣髴とさせるプロット。卓越していたのは試合シークエンスに漲っていたライヴ感で、無粋なナレーションや設定語りを極力排除し、芝居、作画、音楽、音響の呼吸を大切にした演出方向が、戦車に興味のない自分のような人間をも引き付けてくれたように思う。同じように競技かるたのルールが半分もわからないのに引き込まれてしまう『ちはやふる』シリーズに共通するものを感じた。ライヴ感は熱気と言い換えてもよく、つまるところ、古典的なスポ根もののテイストを戦車道というエキセントリックな設定に置換しただけ。戦車の設定や描写における緻密なこだわりもあるだろうが、作品コンセプトとしてはそんなシンプルさが受けたのではないだろうか。
主人公・西住みほの、戦力不足を知恵と機転と度胸で補う戦術は古典的なモチーフだけど、同時期にオンエアしている『ジョジョの奇妙な冒険』のジョセフ・ジョースターがそうであるように、“柔よく剛を制す”ところに判官びいき精神もあいまったカタルシスがあったように思う。特に、最終2話の黒森峰戦は極め付けであり集大成にもなっていた。また、引っ込み思案だったみほが指揮官としての素質を開花させていくくだりは、彼女を支える仲間たちの思い遣りもあって、表面的なイメージに囚われない力強さが感じられた。性格の違う5人のヒロインズという設定は昨今のアニメ作品において定番だけど、日常シーンで見せるそれぞれの個性を、緊張感あふれる戦車道における砲塔内での助け合いにおいても活かしてくれたのがまたすばらしい。あと個人的には、生徒会の凸凹トリオが、みほに対する厳しくも温かい眼差しもあって好きだったな。序盤こそ多人数のキャラクターを掴み難かったものの、シリーズ終盤では少なくともチーム単位ではそれぞれのキャラクターの面白味を体感できるようになった。日常ではなく戦車道の試合を通じてキャラクターに個性を付与していく方向性は、1クールの尺を考えれば大成功かと。
最終話の感想でも書いたとおり、みほがまほを越えたことでドラマとしてもきっちりと幕が下りた印象なので、私的にはこれで完結してほしいと思っている*1。いずれにせよ、ここ一連の水島努監督作品に通底していたエンターテイナー精神が、オリジナル作品ということもあって頂点に達したようなシリーズだった。1クール存分に楽しませていただいたスタッフ、キャストの皆さんに厚く感謝を申し上げたい。
サントラ盤は昨年暮れから愛聴しているけど、3巻まで購入したBDはまだ未開封。繰り返し視聴に適した作風なので、時間を見つけてじっくりと味わいたい。
★★★★

*1:もっとも、ビジネス的な大人の事情がそれを許さないかもしれないが…。2期が実現すればもちろん歓迎したい。