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アニメのてきとう感想がメイン。ネタバレあります。

ファイ・ブレイン〜神のパズル 第3シリーズ 第24話「欠けていても」

脚本:根元歳三 絵コンテ:遠藤広隆 演出:馬引圭、外山草 作画監督:浅井昭人、石井久美、服部一郎、楡木哲郎、中島利洋

オルペウスが課した時間と空間を超越したパズル「時の迷路」にて、カイトの過去とレイツェルの過去が交差する。
ジンから「何かが欠けている」と何度も拒絶されることで、自分の精神を守るためにつくり出した「偽りの世界」に引きこもってしまったレイツェル。そこに現れた、パズルを「復讐」の対象とする大門カイト(以下「偽りのカイト」)との出会いは、レイツェルが見てきた愚者のパズルに苦悩し続けたジンの姿と重なる。そして、パズルが大好きなジンを愚直なまでに信じる現実のカイトとはあまりにも対照的な偽りのカイトを、自身が少しずつ変えていくというレイツェルの妄想に、彼女が無意識のうちに捻じ曲げてしまったパズルへの素直な愛情が垣間見えて泣けてきてしまった。偽りの世界に逃避することで、目を背けてきたパズルへの愛情がよみがえる、それはすなわち、パズルに苦しむジンばかりを見せられてきたレイツェルの閉じた内面を示唆するもの。
その一方で、カイトはパズルに苦しむジンの姿を初めて目の当たりにすることで、ようやくパズルに対して歪んだ感情を抱いてきたレイツェルの内面に気づかされる。あえてジンから離れるという同じ境遇を選ぶことで、レイツェルの精神に近づいてみせたカイトに、ジンが2人に与えた薫陶が等しく分けてだてなかったものであることが伝わってきた。
ジンから逃げた「偽りの世界」においても、彼からのブローチを肌身離さなかったレイツェル。それは、ジンを忘れられないという彼女の意識もさることながら、ジンが託したとおりの「お守り」として現れたようにも思える。かつてのジンの写し絵である偽りのカイトを呼び寄せ、彼との交流によって自身の「欠けているもの」を肯定できる境地に至ったのは、そのご利益ではないか、と。

オルペウスが見せる過去のビジョンは段階を踏んでおり、カイトとフリーセルが家族にまつわる自身の願望にとらわれた18話、ジンの意識が介在したと思われるカイト、ルークそしてレイツェルが仲睦まじくパズルを解く20話があって、今回レイツェルのそれをカイトが救い上げる流れになっている。前述したとおり、レイツェルの逃避がネガティブなニュアンスだけでなかったところもポイント。また、カイトとフリーセルの逃避が実在した家族をベースにしていたのに対して、レイツェルのそれは実在しなかった家族や学園生活を妄想してのものだから、家族代わりだったジンひいてはパズルに対するルサンチマンを解きほどく方向性になったのかな、という気がした。
これぞ精神のパズル、自分探しの旅といった感じの、イマジネーションに富んだエピソード。
★★★★