flower in my head

アニメのてきとう感想がメイン。ネタバレあります。

蟲師 続章 第十話「冬の底」

絵コンテ:長濱博史 演出:そ〜とめこういちろう 作画監督:杉光登、馬場充子、西位輝実、安彦英二、馬越嘉彦

春の訪れを拒む山にひとり迷い込んだギンコの奇妙な体験。
前年秋の台風で荒れた山を守るため山ごと冬眠させた「ヌシ」の魂胆について。おそらくは、冬の状態を維持するためにある種の蟲の力が必要。そこで、山を「開く」タイミングで疲弊した蟲の渡りをサポートするために、光酒を持つギンコを招き入れたと。沼にギンコを封じ込めたのは、動物たちと同じく開山までの体力を温存させるため。山を守ることはすなわちそこに生きるあまたの命を守ることにほかならない。蟲はひょっとしてヌシが守るべき対象からは逸脱しているかもしれないが、閉じた状態を維持してもらう代わりに光酒を提供するロジックには、やはり蟲と人すらも含めた生態系を掌握できるのがヌシの資質であることが分かる。「全部、ヌシどのの掌の上か」とひとりごちたギンコにうなずきつつ。
これまで描かれた、周到に人間や動物を利用する蟲たちの集大成のようなエピソードで、まるでヌシが仕切る山そのものが蟲のようにも感じられた。雪山の風景もあいまった、ギンコとヌシと蟲のキャッチボールのような静謐感がすばらしく、雪解け後の落ち葉や山野草の精緻な背景美術が、いつも以上に鮮烈な印象。
ギンコ以外の人間を一切出さなかったのも大正解。他のエピソードで描かれる人々のよろずごと解決ではなく、こういう体験こそが蟲師の日常なのだと実感させてくれもする。
★★★★