flower in my head

アニメのてきとう感想がメイン。ネタバレあります。

響け!ユーフォニアム 総感

【総感】
各話感想であらかた書き尽くしたので、改めて述べることはあまりなかったり。
大所帯である北宇治高吹奏楽部内のドラマに注力した内向きな構図が印象に残る。それは、黄前久美子という内向的でセンシティブな主人公の性格に寄り添っているかのよう。彼女のビジョンをもって、さまざまな奏者がいてこその有機的な集団たる吹奏楽部がデリケートに表現されていた。全国に行くことにこだわる者も、ストイックに演奏にのめり込む者も、みんなと一緒に演奏したいだけの者も、やめていく者もいる。それらを目の当たりにしてきたからこそ、麗奈と同じ向上心を得た久美子の現在が、コンクールにおける調和のとれた演奏が、いっそう美しく力強く感じられた。
久美子についてはその性格はもちろん、経験者それもかなりの実力者であるという初期設定が効いていたと思う。第1話で先輩たちの演奏に微妙な表情を浮かべたくだりから、流されるように入った吹奏楽部でいつの間にかコンクールメンバーから取り残されそうになる。吹奏楽部にあってうつろな序盤の彼女を見ていると、麗奈のような動機づけが不足していたと考えるのが妥当と思われる。
それが、同じポジションをめぐっての夏紀との競争を体験することで、あるいはソロパートをめぐっての麗奈と香織の競争を目の当たりにすることで変わっていく。学年のヒエラルキーをものともしない超新星たる高坂麗奈は、いささかファンタジックなビジョンが象徴するとおり久美子にとっての導き手だったし、その下地になったのが「怖い」と言わしめた先輩の夏紀とのポジション争いに勝ったことだと思う。久美子を触媒として、他の部員たちにも麗奈が直接的あるいは間接的な指針になっていく。
優子が三年生最後の晴れ舞台をと香織に願った感傷をものともしない実力至上主義が、滝昇が吹奏楽部に持ち込んだエッセンスであるし、彼に心酔する麗奈が急先鋒になる構図がわかりやすい。そして、部員たち自ら全国に行くと意思表示したからには、それぞれのスキルを高めつつ調和していくしかない。ただ、そこに盲目的に収束していくのではなく、退部していった葵のような脱落者へのまなざしを忘れないからこそ、迷いに迷った久美子がたどりついた先が輝いて見えるのだ。
個性的なライバル校たちと吹奏楽バトルを繰り広げるような作風でもないし、私的に見たいものはあらかた見せてもらった感じ。田中あすかの内面など引っかかる要素はあるものの、久美子ビジョンの物語であればオブラートしたままのほうがいいのかもしれない。キャラクター描写の濃淡は久美子視点ゆえで、だからこそ魅力的な人間模様になっていたとも言えるので。
葉月と緑輝に関しては、さまよえる久美子を吹奏楽部に引っ張り込んでムードメークしてくれただけで、十分すぎるほど役割を果たしたと思っている。
★★★★