【概要】
泉から相談を持ちかけられた新菜は、演出家の三枝久を見つけて後を追う。新菜は三枝との過去について泉に打ち明ける。新菜から和紗の好意を聞かされた泉は意識し始めた。ひと葉は山岸と密会を続け、百々子は拓と二人で遊びに出かける。そして、駿からの原稿を校閲したり香は……。
【感想】
三枝が課した「少女性」にがんじがらめにされた新菜が発した言葉が、和紗たち文芸部の面々にとっての一石となった。そこに大きな意味があると解釈。新菜と三枝の倒錯した関係性が、和紗と泉の初々しさに重ねられることでみずみずしい感情を生み出す。欲望と恋愛は相反するものではないと。「変なやつ」という新菜と泉の同朋意識が、性的なあれこれに振り回される和紗へのエールに思えてくる。ひと葉と山岸はもちろんのこと、ひたむきに見えるり香と駿も「変なやつ」に違いなく。そんな中、軽薄な悟に対する百々子の違和感が引っかかりを残す。何とも一筋縄ではいかない。